今年の2月に開催が決まった時は歓喜の雄叫びをあげたくらいに楽しみにしていたイベント、東京建築祭!
終わってみれば初開催にして約6万5,000人が参加したそうで、この数字は去年開催されたイケフェス大阪、京都モダン建築祭、神戸モダン建築祭の動員数を凌ぐ記録とのこと。
恐るべし東京のポテンシャル…
2日間で7つの建物の見学とトーチタワーのガイドツアーに参加してきましたので、その様子を大量の写真とともに時系列で振り返りたいと思います。
5/26
井筒屋
前日に効率よく回れるルートを考えた結果、井筒屋をスタート地点にすることに。
が、この井筒屋だけ13時から公開という事実をその場所にいらした親切な方が教えてくださいました…。
これによって早くも考えたプランが崩れるっていう…
どおりで建物の前に人がいないと思った笑
この井筒屋は、約100年前の大正後期に建造された木造3階建ての建物で現在はギャラリーとして活用されています。
また13時に戻ってくることにして次の場所へ。
旧宮脇ビル(川崎ブランドデザインビルヂング)
井筒屋から徒歩で向かったのは東銀座にある旧宮脇ビル(1932年竣工)。
この建物、ずっと気になってました。
解体寸前のところで現在のオーナーさんが買い取って窮地を救ってくださったという関東大震災の復興建築。
なお、俳優の鈴木京香さんも解体されそうな洋館を買い取り、さらに公開までするという素晴らしい活動をされています。
外壁に目をやると、よく見るスクラッチタイルとちょっと違う質感だったのでスタッフの方に聞いたところ、これは”加飾タイル”という初耳のタイル。
建物内のギャラリーでは東京建築祭に合わせて、「銀座歴史資料 -品格ある銀座-流儀と矜持その誕生を紐解く絵葉書」展が開催されていました。
粋な計らいに感謝。
まさに銀座のルーツを紐解けるような絵葉書展。
このアングルは、今のGINZA SIXの屋上から見える景色とかなり似てます。
いつかの数寄屋橋交差点。
現在は有楽町マリオンが建っています。
この絵葉書では、埋め立てられる前の三十間堀川(右手)という河川を確認。
建替えのため、解体された三愛ドリームセンターが輝いていた頃。
この写真はテナントのエントランス。まぁお洒落…
徐々に幸福度の高まりを感じつつ、続いてやってきたのは新橋。
堀ビル(goodoffice新橋)
ずっと前からすきでした…
この機を逃すまいとやってきたのは、これまた1932年に竣工した堀ビル。
地下1階は戦時中には防空壕として使われたこともあったという国の登録有形文化財。
角地にあり、曲面のファサードが素晴らしいんですよ…
外壁のレリーフも乙ですよね。
このRがたまらない。。
装飾を存分に楽しんでくれ、と言わんばかりの凝った外観。
どなたかがXで “ブルボンのお菓子みたい”とポストしてたやつ。
たしかに見れば見るほどホワイトロリータに見えてくる。笑
中に入るまでに15〜20分くらい並んだような気がします。
中から外を見た様子。内観との対比でタイムスリップしてるよう。
床のタイルは竣工当時のものだそう。
今回は1階のラウンジを見学させていただけることに。
数年前に竹中工務店が改修工事を行い、現在はシェアオフィスとして活用されています。
それだけにオシャレ。
好きなんですよね、外観は昔のままで建物の中に入ると現代の内装になっているギャップが。
どこかニューヨークっぽくて。
見たあとで知ったのですが、この照明は竣工当時のものだそう。
先に知っておきたかった。。
階段も手摺りも尊い。。
欲を言えば、めっちゃくちゃカッコいい2階以上も見たかったんですけどね…それだけは仕方ない。
外に出たら行列はもっと伸びてました。
熱気を帯びてる笑
うーんカッコいい…
ずっと残ってほしい建築です。
お昼は近くにあるニュー新橋ビルで食べることに。
建築の写真より反響あったのがちょっと複雑…
再び、時間を間違えた井筒屋へ。
井筒屋
が、時すでに遅し。。。現地に着いたらすでに100名以上が並んで受付終了したというアナウンスが。。泣
完全にナメてました…ここまでとは思わなかった…。
絶望感に打ちひしがれながら神田へ。
丸石ビルディング
やってきたのは多くのファンがいるロマネスク様式の丸石ビルディング。
エンパイアステートビルディングと同い年の1931年竣工。
外壁は下から黄龍石、スクラッチタイル、頂部はテラコッタ。
ずしりとした重みがたまらなく好き。。
エントランスが見学できたものの、写真はNG。
ため息のでる至極の空間でした…。
目を凝らすと、凝りに凝った装飾が随所に。
キツネっぽい。
狛犬ならぬ獅子像。
すんごいですよ、これ…
いい意味で空いた口が塞がらない。
裏から見るとニューヨークの一角みたい。
街にはパンフレットとカメラを下げた人たちが溢れてました。
それは2年前のイケフェス大阪で見た光景とまったく同じ。
なんて幸せなイベントなんだ…
続いて向かったのは、日本橋大伝馬町。
江戸屋
創業1718年、刷毛や刷子の製造・販売をしている株式会社江戸屋。
こじんまりとした昔ながらの商店と思いきや、その空間には魅力がぎっしり詰まってました…
外観がもう愛おしい… 国登録有形文化財だけど、もう重要文化財でいいです。
現在の建物はちょうど築100年!(1924年竣工)
ただ、設計者も施工業者もわからないという。
15分ほど並んで店内へ。
ズラリと並んだ手植えで作られたブラシや刷毛の数々。
多少、値段は張るものの、相応の価値があるのでしょうね。
感動したのは、蛍光灯を暖色にしている点。
これによって調度品なんかも相まって店内がより温もりを感じる空間になってるんです。
天井から吊るされた刷毛がとても乙。
この空間はたまらない…
木の温もりがたまらくいいんですよね…
見るからに江戸時代っぽい書物も。
いやーレトロに浸るには最高の店内。
これはイロハ式?の金庫だそうで。
どういう仕組みなのかまったくわからず笑
奥の事務所的なお部屋では社長?と思われるご年配の方とそのお孫さんが戯れている姿がとても微笑ましくて…
公開してくださり、さらに写真まで撮らせていただき、本当に本当に感謝です。
こんな素敵な廊下も。
日曜劇場の「陸王」に出てくるこはぜ屋を思い出しました。
幸福感に満ち溢れる素敵な空間でした。。
今度、歯ブラシ買いに行きます!
江戸屋を見終えて少し歩いていると前から気になっていたお店に巡り会い、小休憩。
建築の写真より反響あるのが、めっちゃ複雑でしたけどね…
続いて向かったのは、日本橋室町。
三井本館
写真は開館90周年の夜間ライトアップです。
この三井本館、まさか1時間並ぶとは。。
普段のこの光景が嘘のような大混雑っぷりでした。
もはやディズニーランド。笑
しなしながら、中に入ると疲れが飛んでいくから不思議です。
今回は合名玄関を見学することができました。
そのハイライトがオーチス社の絢爛豪華なエレベーター。
オーチスといえば、アメリカ人のエリシャ・オーチスが創業した世界最古のエレベーター会社。
そして、エレベーターの世界シェアNo.1を誇ります。
これまでに見たどのオーチスのEVの中でも最も豪華でした。
天皇陛下でも乗るんですか的な重厚な設えがすごすぎて…
刺さったのが、この裸電球。
ソケットが空いているので昔は全部に電球を刺していたんでしょうね。
それにしてもカッコよぉ… これを見るためだけに1時間並んだと言っても過言ではありません。
ちなみに現存する日本最古のエレベーター(東華菜館)もオーチスのものです。
疲労感がでてきたので、初日はここで終了。
5/27
築地本願寺
2日目は築地本願寺からスタート。
インドの古代仏教建築の要素が見られる本堂は1934年に竣工、国の重要文化財。
伊東忠太の代表作。
2日目も朝から凄まじい行列で熱気を帯びてた… 30分ほど並んで内部へ。
築地本願寺には何度も訪れているけど、初めての視点。
花頭窓をモチーフにした窓。
この窓から見る現代の景色との対比がすごくいい。
築地本願寺では貴賓室を見学できることに。
この天井はそこに行くまでに通った講堂。
この空間も良かったです。どこか和でどこか洋な。
講堂を抜けて本堂2階にある貴賓室へ。
天井照明すき…
室内にあったもの。
近代建築でよく見かける照明。
いいですねぇ…
人が途切れた瞬間を見計らって。
扉の上にはこんな遊び心も。
すごく乙。
これも面白かった。出口で見かけた窓的な?
この築地本願寺、随所に遊び心が散りばめられている。
魅力再発見とはこのこと。
続いて向かったのは、日本橋兜町。
日証館
渋沢栄一の邸宅の跡地に建てられた日証館は1928年の竣工。
日証とは日本証券取引所の略。
30分ほど並んで内部へ。
公開はエントランスホールだけでしたが、もう至極でしたね。。
(めっちゃ人がいるのでこういうアングルになりがち)
この意匠と間接照明はもう反則… だいすきです…
うおぉ、、エレベーターホールもかっこいぃぃぃ
石材が織りなす重厚感。自己顕示欲強めでめっちゃすき。
2階の一部も見学可でした。
いやーこの大理石の階段は昇天する。。
なんて言うんですか、重厚感。
窓の外には日本橋川が。
ずっと撮ってたらいつの間にか1人きりに。
めっちゃすき…。
そして、この床ですよ。。
この輝きにして強烈な主張。。
素晴らしい…!
案内板までめちゃくちゃ凝っていて。
近代建築欲で満たされまくりでした。。この建物もずっと残ってほしいですね。
以上、7つの建物の特別公開を振り返ってみました。
最後にこのイベントを実現してくださった運営の方々に本当に感謝です。
幸せすぎて最高といえる2日間でした。
知らなかった建物、知っていたけど改めて魅力に気付いたことが、とても大きな収穫。
今後、規模を拡大しつつ永続的に続いていきますように。
建築万歳!笑